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| 田辺市龍神村 森 善一(もりよしかず)さん (75歳) 就農年数 55年。 シキミ20a、ビシャコ20a、サカキ50aを栽培されています。 |
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林業から農業へ 木に携わり続ける人生 1,000m級の山々に囲まれ、林野率95%を超える田辺市龍神村。山あいを流れる日高川の清らかさに、森の恵みを実感します。 全国屈指の生産量を誇る特用林産物のシキミやビシャコ、サカキ。これら常緑小高木植栽の第一人者である森善一さんの圃場には、全国各地より視察に訪れます。 先祖代々山林を守り、自身も若い頃より森林組合に勤めながら林業を営んでいた森さん。しかし、昭和30年代の木材輸入自由化に伴い、価格が暴落。生活できるほどの収入を得られなくなり、“林業”から“農業”に転換をはかりました。 新緑の季節となり、7月からの出荷を前に、若葉の緑が輝きます。このシキミの圃場は、昭和40年代後半に林道が造られた際、切り開いた山の土で水田を埋め立てた畑です。 山土に植えるのは、やはり山で育つ植物が良いと、昭和50年に初めて自生のシキミを移植。昭和56年にJAへ初出荷し、現在の主力農産物となっています。 県の薦めもあって、昭和59年よりサカキの植栽に着手しました。サカキは光に当たると色が悪く、固くなり、商品価値がなくなってしまうため、間伐した後、木々の間に植えます(林間栽培)。3年間かけて1.5haの山一面に、自生のサカキに混ぜ苗を植えました。 10年程は予想以上に良く育ち、植栽への自信を深めたのですが、その後、葉が枯れ始めてしまいました。当初は病名や対策法が分からず、後に専門家によって「輪紋葉枯病」と診断されました。 山一面、あらゆる場所に植えてしまったため、湿気の多すぎる場所で病気が発生したようです。「農産物の栽培には、やはり適地を選ばなければならない」と、痛感しました。 平成9年に森林組合を退職し、農業に力を注ごうとしていた矢先の平成10年に、台風が直撃。スギやヒノキが倒されたことで、一段と病気が蔓延し、出荷できる状態ではなくなりました。 現在は面積を50aに縮小し、林業試験場と共同で、「輪紋葉枯病」への耐性など栽培技術の確立に向けた研究を行っています。 近年、山に自生しているはずのサカキやシキミが姿を消しつつあります。戦後の拡大造林政策によって植林されたスギやヒノキなどが成長し、収穫期を迎えているのですが、林業の衰退により手入れがされず、大きく育ちすぎたことが原因ではないかと考えられています。 林業研究会の会員として活動を続ける森さん。「先祖より受け継いだ耕地を荒らしたくない」との想いが募ります。 世代を超えて築き上げた豊富な森林資源を、活用するのはまさに今。山、森林、環境、そして地域経済を守るため、農業と共に林業の再生が必要です。 |