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日高川町 寒川杉本 久代(すぎもとひさよ)さん (61歳)

就農年数 4年  水稲30a、梅600本を栽培。干し梅約14tを出荷されています。 
杉本久代さん広報誌『はあとふる』2009年12月掲載記事より

     
かな
 風土に適う農業経営

 寒い地域で育つ梅。今回は、『寒川の梅』生産者の杉本久代さんを訪ねました。

 日高川町寒川地区は山間部に位置します。昼夜の温度差が激しく、真冬には40~50㎝もの雪が積もることもある地域です。年間の平均気温が低く、梅の収穫時期は、県内で生産される梅の最盛期より1ヶ月程遅くなります。

 青梅を出荷するには市場出荷時期と合わない為、自宅で加工し干し梅として出荷されています。


○転機
 久代さんは57歳まで近くの寒川診療所で事務のお仕事をされていました。勤めに出られていたご主人と共に、休日にはご両親の手伝いをされていたそうです。ご主人も今年2月に退職され、現在はご主人のご両親と久代さんのお母様と5人で農業を営まれています。

 10年程前、ご自宅の近くにスーパー林道が建設され、その際工事で余った土砂を使ってほしいと頼まれたそうです。それを機に、水田を埋め立てて圃場にされ、梅の木を増やされました。

 それまでは青梅の出荷もされていたそうですが、収穫量が増えることを見込んで施設を建設し、全量干し梅出荷に移行されました。5~6年前には2棟目を増設し、一度に240枚の梅ザラが並ぶ約300㎡の施設で梅を干しているそうです。


○慎重を期して
 寒川の梅は、7月に入ってからが収穫の最盛期。木の下にネットを張り、熟して落ちた梅を集める作業が約1ヶ月間続きます。収穫した梅は洗って浸水作業を行い、塩漬けし、8月半ばから11月半ばにかけて順次天日干しをします。

 干しあがった梅を一粒一粒秤にかけ、グラムと傷の有無によって7階級に選別します。少しでも傷が入ると階級を落とさなければならないため、取り扱いは慎重にされているそうです。それ以上に注意が必要なのは、やはり衛生面です。「JAからの指導に従うよう心掛けています」と、JAが作成したGAP(農業生産工程管理)に基づいて作業し、衛生管理を徹底されています。


○明るい未来へ
 非常に手間暇のかかる干し梅は、青梅に比べると少しは価格が安定しているようですが、一時期に比べると消費量が減り、中国産の梅の輸入量が増えたこともあって、厳しい状況が続いています。

 「高齢化の進む寒川地区ですが、干し梅生産者の意地にかけて寒川のタル梅を守っていきたいと考えています。価格の低迷がしばらく続いても、施設を維持していかなければ・・・」と、価格が安定することを切願されています。

 厳しい経営環境の中でも、「量に関わらず、やはり収穫出来たときはうれしい」と、久代さんは農業の喜びを語ります。消毒の量をなるべく減らすように考えながら、きれいな梅の育て方を毎年勉強されているそうです。「どんな梅が出来るのかが、とても楽しみなんです」と、いつも『希望』を持って品質の良い梅作りに取り組まれています。

 10年前に植えた梅の木は、まだまだ成長段階にあり、2~3年後には現在の倍ほどの実をつける見込みです。


 かつて、娘さんのお義父様が食欲不振で体調を崩された時期があり、久代さんが梅干を勧めたところ、食欲が出て元気になった姿を目の当たりにしたそうです。

 「梅干は本当に健康に良いと実感しました。皆さんも毎日1粒の梅干を食べて、元気に過ごしてほしいですね」と、メッセージをいただきました。

 厳しい経営環境のなかで、最大限の努力を重ねる久代さん。

 今後、益々のご活躍をお祈り申し上げます。

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