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日高川町伊藤川   谷本 義雄 (たにもとよしお)さん (58歳)

就農年数 4年  栽培面積 1.3ha
シキミ、サカキ、自然薯など中山間地域に適した農産物の栽培に取り組まれています。
谷本義雄さん広報誌『はあとふる』2008年10月掲載記事より

 家族の団結力!
 中山間地域での特産品作り


 谷本さんは兼業農家として20歳から 27年間、川辺町周辺土地改良区に勤務されていました。 46歳の時、首から手にかけての痛みのため頸椎を手術し、それが原因で退職されることになりました。

 土木管理士や管工事施工管理士の資格を持っていたため、農業を続けながら旧南部川村の建設会社でパイプ工事や水道工事に携わっていらっしゃったのですが、首と腰の悪化により辞めることとなり、 4年前から本格的に農業に従事されています。


○作付種目の変遷
 ご両親の代より水稲、八朔、温州みかんを栽培されていました。 30年前の水稲減反時期に、県の事業の一環で、伊藤川地区の特産にしようとシキミ栽培に取り組まれました。その後、八朔から梅栽培に変更されたこともあり、専業農家となられてからは耕作放棄地の開墾をして普通畑に変え、ウスイ、キヨヒメシシトウ、ブロッコリーなど色々な野菜を栽培されています。

 「本格的に農業に携わってまだ日も浅いため、JAの営農指導員さんや友人たちに指導していただいています」と話されます。


○ 厳しい環境

 中山間地域は、立地条件や気象条件の面で作物の栽培には不利です。伊藤川は谷間で強い風が吹き抜けるため、防風ネットを設置するなどの対策も必要だそうです。

 数年前までは夏の暑い時期でも朝晩は寒いほどでしたが、最近は夜の気温がなかなか下がらないなど、温暖化による気候の変化を実感しており、日々の作業にも苦慮されているとのことです。

 近年、鳥獣害が特に増えており、対策として全ての圃場を電気柵で囲われているそうですが、コードを切られたり、いのししが暴れて壊れたりと、その管理に一苦労だそうです。

 「これまで農業に関する水関係の仕事に従事し、外から見て来ましたが、実際に自分で経験してみて、農業の難しさを痛感しています」と語られます。肥料や防除などの作付管理は、その土地その土地によってばらつきがあり、良いと教えていただいたことでも伊藤川では合わないことが多く、品を見ながら試行錯誤されているそうです。また、昨年と同じことをしても良いとは限らず、毎年毎年違っていて、なかなか思い通りにはいかないそうです。「 4~ 5年経った今、やっと半人前かなと思っているところです」と、ご苦労の跡が伺えます。

 また、農作業を行っているとあちらこちらの作業が気になり、手を出してしまうものですが、谷本さんは「二兎を追う者は一兎をも得ず」を教訓に、段取りよく 1つずつ片付けていくことを肝に銘じているそうです。


○新しい挑戦『自然薯栽培』
 中山間地域という厳しい環境の中でも、谷本さんは伊藤川の特産品作りに積極的に取り組まれています。今年度より、ご友人たちと「自然薯」の栽培に着手されています。寒暖の差が大きいところが合っているそうで、 4月に 70本定植し、 12月の収穫を楽しみにされています。今年の出来が良ければ、栽培本数を増やしていく予定で、今後の産地化を目指されています。


○ 家族の絆
 現在、谷本さんご一家は 9人で暮らしていらっしゃいます。ご両親はもう 80歳代ですが、シキミやサカキの整理をされるなど、まだまだ現役です。同い年の奥様とは、 24歳の時にご結婚されました。九州出身で農業には携わったことがなかったそうですが、今では農業を営む谷本さんのよき理解者であり、よきパートナーとなられています。

  3人の息子さんたちに恵まれ、お孫さんも 3人授かりました。同居のお孫さんは、 7歳と 4歳の女の子で、谷本さんが仕事をする畑へもついて来られるそうです。「稲刈りの時にコンバインに乗せて写真を撮ると、とても喜んだんですよ」とこぼれんばかりの笑顔です。週末には、お孫さんたちと一緒に寝ることになっていて、とても楽しみにされています。

  33歳になるご長男は、京都出身のお嫁さんと共に、谷本さんの跡を継ぐことを決意されているそうです。春と秋の農繁期には次男、三男も総出で手伝ってくれるとのことで、谷本さんご一家の家族の繫がり、団結力の強さを感じました。


 農業を営むには厳しい環境の中山間地域ですが、特産品作りに取り組む谷本さんの姿勢は、とても頼もしいものでした。

 自然薯産地化のご成功を、心よりお祈りします。

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